NorVin  ノーヴィン
フロントフォークのOH
ロードホルダーフォーク名残のフォークカバーはアンダーだけ使用してあります。

アッパーカバー代わりのゴムブーツは好みではありませんので要検討です。
ライトハウスを外してみますとフロントフォークがオフセット?されています。

ライトステーのいい加減な向きの影響でオーバーに錯覚します?

気のせいと云うには無理がありますが、笑

レーザーを当てフレームと前後ホイールを一直線にセットします。

左右のフォーク位置が15mmほどズレています。
速攻でバラします。

見た目に解かる程の曲がりはありません。

バラて測定しますとインナーチューブの曲がりは左側のみです。

両端を直線で結んで中央、アンダーブラケット辺りで1.2mmの曲がりです。

気分的には悪いですが、峠で遊ぶ位では許容範囲の数値です。

違和感を感じる程ではないでしょう。
インナーチューブの曲がりだけではチョッと考えられません。

要因は他にありそうです。

発見しました。

アンダーブラケットの僅かな歪みでした。

冶具を製作して一気に修正しましょう。
この際、ステム廻りも全面的に見直します。

バラします。

テーパーベアリングに変更されています。
アンダー側もテーパベアリング仕様に成っています。

ラッキーと云うべきか!?

上下ともレースに打根は見当たりません。

グリスの汚れもなく、そう古くはないようです。

近年メンテナンスされていますね。
アンダーブラケットの修正にチョッと時間が掛かりそう。

殆ど乗ることの無いドミレーサーのステム廻りと総組み換えして取りあえず遊ぼうかとも。

残念、テーパベアリングに変更されていましたので気力が沸かず軽く断念です。
レーザー照射にて前後左右からフレームをチェックします。

垂直、水平の照射は交直自動調整、水平間隔は任意調整です。

基準はステアリングヘッドへからの下げ振りでの鉛直線でいきます。

ステアリングヘッドへの鉛直照射レーザーはクランクケースの左右の合せ目にドンピシャ!

クランクケース上面とダウンチューブガゼットの水平方向の2本の照射、バッチリです。

左右もチェック、リア側もスイングアームも含めてチェック完了、満足です、笑

フレームにエンジンを載せた時の位置関係もこんな方法でチェックしています。

フレームの歪みは別のレーザー距離センサーで再度チェックします。

ターゲット0.1m〜10m、距離精度は最大で±1.0/100000mmです。

職権乱用で社から拝借です、精度が低いタイプですがポータブルはこれしかなかったので。

前後左右、上下等の要と成る同ポイントの数値比較での歪みチェックですので十分です。

エンジンを下ろして測定すれば完璧ですが問題なし、職人技の造りでした。
フックレンチでフォークカバーを外します。

車体にセットされた状態で事前に軽く緩めておきました。

ロードホールドフォークの造りですが内部はノートンコマンド辺りでしょうかね。
インナーチューブはアウター底のネジを外す一般的な構造です。

試しにTレンチで・・・・・外れました。

インパクトは不要でした。

良いのか悪いのか。

外しましたら相手ネジ部はアルミでしたから締め付けトルクは適正でしょう。
意外にまともな造りです。

インナースプリングに改造されていましたからもっと雑なのを想像してました。

オリフィスは大きすぎと思われますが・・・

某所からコンスタント?に配信されるManx_reportで確認します。

Manx 30Mのインナーのオリフィスは同形状、同寸法だから純正サイズかな。

Manxに関しては彼以外に考えられません。

いつもありがとうございます、この場をお借りしてお礼申し上げます。
コマンド辺りの流用の可能性もあります。

アルミですからワンオフっぽい気もしますが。

ドミレーサーはインナースプリングに成っていますから何れ確認して見ましょう。
イニシャルは4mmほど左右で違うセッティングです。

見た目スプリングレートが違うとは思われませんし。

ミスかな、大雑把なだけでしょうかね。

サイドカーは引きませんので左右は合わせから組みます。
スライドメタルにはキズは見られませんがクリアランスは大きすぎですね。

スライドメタルを***に変更すると最高の動き、とDataとレポートを頂いています。

レースでManx 30Mを壊れるまで廻す友人からの確かな情報です。

彼の秘策ですので公表公開は無しです、ごめんなさい。

どうしましょう、変更すべきか・・・・・・・・、変更してもUPできませんが、笑

オイルシールは消耗品ですので交換です

ロードホルダーフォークのオイルシールはガレージ在庫があります。
1.2mmでも曲がりは曲がり、気分が良くありません。

フロントフォークの修正はプロに依頼です。

流石、何処にも修正の形跡がありません。

オイルシール、銅パッキンのみ交換、他は洗浄を済ませて早速組みました。

メタル関係の寸法は取りましたから製作しておきましょう。

バラすのは簡単ですからスライドメタル、アッパーメタルは次回のお楽しみです。
アウターチューブのアッパーメタル、オイルシールの固定は強固なフランジです。

アウタースプリングの受けとスプリングのアンダーカバーの取付けを兼ねています。

ネジ部を生かし上部を加工します。

ネジ部を保護するために焼きなました銅板を入れてチャックします。

ニッケルメッキで加工部は錆止め処理です。
現状のままですとアウターチューブの上に掛かった水が溜まってしまいます。

思案です、フォークカバーの代わりを考えなくては。

ダストシールを付けましょう。

アダプター方式でいきます。

アルミで製作とも思いましたがジュラコン(中央)です。

ダストシール(右)は国産車のパーツ流用です。
完璧です、スッキリしました。

自画自賛!、ワンパターンの賞賛です。
さして直進性に問題も無いのですが何かシックリ来ません。

コーナリングに違和感を感じます。

左に比べ右コーナーでの切れ込みが強い感じです。

ライディングとも思えません、笑

ハンドルポストのマウントをキッチリ製作してからですね。

フロントフォークに若干の曲がりが疑われます。

この際確りOHしましょう。


結果オーライです。
不具合があるのが解かりましたから。


テーパベアリングはMade in Franceです。
日本国内では一般的ではありませんので英国でNorvinとして組まれた時に変更されたと思われます。

アンダーブラケットは歪みの方向から右側からダメージを受けています。
トップブリッジ他の数値から追いましても右前方から力が働いた様子が伺えます。
Dataからも左側のキャスター角が正規の数値でした。
仕事柄、こんなチェックばかりしていました、笑
でも歪んでいたのは左側のインナーチューブです??????

バイクは何故真直ぐ走るのか。
アクセルを開けると何故エンジンの回転が上がるのか、見たいな疑問でしょうか。
この回転に付いてはまた何時か書いてみましょう。

直進安定性はどこから来ているのでしょう。
ジャイロ効果+センタリング効果ですね。
ジャイロ効果はサイトの何処かに書いた気がします。
センタリング効果はフロントタイヤを直立に保とうとする力です。
この力はトレールとキャスター角によって成り立っています。

キャスター角はフロントフォークの角度です。
ツールキャビネット、イス等に取り付けられたキャスター、名称ですから間違っているとは言いません。
しかしキャスター、あれはトレール、トレールの理論そのものです。
どこかの誰かが勘違いしたのでしょうか。

基本と成るのはトレールポイントです。
ステアリングヘッドのビボット中心からの延長線上の接地ポイントがトレールポイントです。
ホイールセンターから鉛直に接地したポイントとトレールポイントまでの距離がトレールです。
トレールが長い程直進性が強くなります。
イージーライダーのようにフロントフォークを寝かせてキャスター角を取れば必然的にトレールは長くなります。
キャスター角が同じでもオフィセットが小さく成ればトレールは長くなります。
近年のバイクはキャスター角を小さくした分、オフセットも少なくしてトレールを増やし直進安定性を稼いでいます。
まあ、スピードが上がればジャイロ効果により直進性も上がりますので良いでしょう。
同じオフセット、キャスター角度でもフロントのリム径、タイヤの扁平率に由りトレールは変化します。
タイヤ径が大きく成ればトレールが長くなります。
18インチより19インチのほうが直進性が強いと言われるのはこの為です。

トレールポイントは基本的にホイールセンターより前に位置します。
このトレールポイントから引っ張られることにより直進しようとする力が発生しているのです。
一輪車のようにトレールポイントがホイールセンター鉛直下と一致しトレールがゼロになりますと何処行くかは、です。

極論すればキャスター角とトレールの設計が適正なら他はどうでも良いことにも成ります。
重心の高さ、重心の前後配置など関係なく走ってしまいます。
Cubに2人乗すれば重心、前後の重量配分など1人で乗る時とは雲泥の差ですから・・・・でも普通に走ります、笑

全てgeometry(ジオメトリー)で片付けてしまえば簡単です。
私も設計段階ではジオメトリーを使います。
組み上げたあとはalinement(アラインメント)と呼びます。
アライメントは狂いますがジオメトリーは狂いません、設計ですから、笑

で、考えますとNorvinのフロントには1つのトレールに対してキャスター角が2種類存在していると云う事成ります。
右側フロントフォークのキャスター角が少ないのです。
コーナーではタイヤの接地位置が変わりますから納得です、右コーナーでの切れ込みの強さが。
右コーナーでは右フロントフォークのキャスター角、左コーナーは左のキャスター角が強く作用しての結果ですね。
直進はセンター、左右のキャスター角を足して2で割ったバランスでトレールしてさして直進性に問題が無かっのでしょう。
トップブリッジでの左右の違いはフロントフォークのオフセットだと解釈し納得しておきましょう、笑
オーバル右コース用のセッティングかも。

でもフレームがチョット心配!?
レーザーを当て真剣にチェックしました。

Nortonでは専用治具を使用してフレームを製作しています。
Manxの製造権の売却でもスペアパーツ、工具と共に製造用の大量の治具も一緒に買い取られています。
一説には治具だけでも7トンとか。

フレームに歪みは発見できません。
念のために他の2台のワイドラインのフェザーベットフレームも測定してみます。
序でにスリムラインのフェザーベットフレームも測定してみました。
相対的に比較してもフレームは完璧です。
エンジンとの関係でもクランク軸はフレームに直角に交わります、エンジンもネックとの鉛直がしっかり出ています。
スイングアームと車体の関係も完璧、理想の載せ方です。

インナーチューブの曲がりは許容範囲と見て使用したということでしょうかね。
たまたま左側に使用したインナーチューブが1.2mm曲がっていただけ!?
インナーチューブの曲がりはブラケットの歪みとの直接の因果関係は無いと思われます。

しかし良くバランスを取って組み上げたものです、大したスキルです!
もしかしてインナースプリングのプリロードの違いはこの為のセッティング!?

エンジン、フレームの鉛直はしっかり出ていました。
フロントホイール、リアホイールもその鉛直の延長線上にピッタリ合っていましたから。
フロントフォークをプチメンテして安心してスピードレンジをかなり上げてからのコーナリングでの違和感です。
低速で感じるのは私のセンスでは難しいかったかも、笑

設計屋の性、理論的に納得できませんと次に進めません。
多少強引でも結論を得ればこっちのもの、笑

インナーチューブと共にアンダーブラケットの修正はその道のプロに行って頂きました。
立ち会っていますが凄いスキルです、物の5分で終わりです。
修正後は測定誤差しか出ません。
素材の性質等の見極め、圧力と方向、流石職人技ですね。


フォークオイルは前回#15で行っていますが今回は#10でいきます。

フロントフォークオイルも各メーカーにより同じ#10でも粘度が違います、温度特性にも違いがあります。
#10を同じ温度で比較すればYamaha<Suzuki<WP<Wako's<Kawasakiの順で硬くなりますかね。


とか言いながらMOTUL Factry Line Medium 10Wでいきます。

夏場に向かって柔らか過ぎかな!

ワインディングの下りは飛ばさないから良いか??・・・・・・・・・・・・・・・・・・・