NorGold  (Norton Gold Star)
点火マグネットの修復完了です。

イザ試走・・・・・ガレージから300mでクラッチケーブルのタイコが飛びました。

ガレージは山の手です。

試走は必ず上に駆け上がります。

ダウンしても下り坂をガレージまで乗って帰れますから。

以前、試走に下ってアウト!

帰りは押しての登り、大変な思いをしましたので教訓です。

アウターケーブルに折れもありますから新規に製作しましょう。

使用材料はLink先でもあるCafe British Bikeさんにお願いいたしました。

使用されていたインナーケーブルは1.9mmでした。

切れたとの実績を踏まえ、1サイズUpの2.16mmを使用することにします。

この際他のコントロールケーブルも一新しましょう。
使用するインナーケーブル、アウターケーブルとエンドキャップ(口金)です。

インナーケーブルは1.27 1.57 1.90 2.16 2.64mmの5種類です。

アウターケーブルは4.06 4.83 5.33mmの3種類を使います。

口金はアウターサイズに合わせた3種類です。
ニップル(タイコ)はケーブル径を変更しましたので再使用はできません。

新規に制作します。

真鍮の丸棒から削り出します。
ケーブルのレバーセンターを出すために穴位置はオフセットしています。

全長を短くすれば必然的にセンターは出ますが。

クラッチが重い為に当り面積を増やしてアルミ製レバーのダメージを僅かでも軽減します。

ニップルもCafe British Bikeさんから入手できます。
二ップルの末端処理は半田付けです。

半田コテは200Wタイプを使用します。

電気的な配線にはセラミック半田ごてを使用しますが機械的接合には昔ながらのヒーター式の半田ごてを使用します。

スポイトが付いた半田ごてと左の丸いのは溶かした半田を吸い取るものです。

右上の白い角型はセラミックの下敷きです。
ミッション側のニップル形状を確認、寸法取りの為に旧いケーブルからニップルを外します。

英国車のインナーケーブルの終端のニップルへの固定はスリットでなく皿もみ形状です。

外すときには単純に加熱するのでなく、通常の半田付けと同じように半田を使用します。

コテ先とニップルの半田付け箇所に十分半田を流し込みます。

半田を溶かしてそのまま引き抜くのではなく、一旦ニップルをケーブル側へ戻します。

インナーケーブルは再使用する訳でもありません。

開いた部分をカットして改めて引き抜くか、ケーブルを切断して後ろに抜けばOKです。
ニップル形状、寸法は解かりました。

ミッション側を確認して1サイズ大きくすることにしました。
ニップルのインナーケーブル用の貫通穴はインナーケーブルの径の最大+0.1mmが目安です。

大き過ぎますと半田がニップルからケーブル側へ流れて不都合です。

老眼で小さなパーツを挽き出すのが大変に成ってきました。

次回からはこれもCafe British Bikeさんにお願いすることにしましょう。

アウターケーブルの切断にはディスクグラインダを使用します。

金ノコでも良いのですが・・・・・・

楽をする分、熱によるアウターケーブルの被覆の溶解には注意が必要です。

切断部分の目印兼保護に耐熱テープを巻きます。

切断面はインナーケーブルのキズ防止に内部に入り込まないようにバリ取り、面取りをします。

最後にキャブクリーナで反対側から流れるまで洗浄します。
インナーケーブルの材質は非常に硬いです。

ディスクグラインダでの切断が最適です。

金ノコではケーブルを保護していても芯線がバラけてしまいます。

ペンチ、クリッパ等でもやはりバラけます。

切断したインナーケーブルの芯線の先端の何本かに曲がりが出ますので厄介です。

こちらもバラけ防止、保護と目印の為に耐熱テープを巻きます。
ディスクグラインダで切断しますと切断面はとても綺麗です。

ワイヤーもバラけません。

アウターケーブルにも楽に通リます。

耐熱テープですからケーブルに熱によるテープの糊移行がありません。

インナー、アウター共にワイヤーは付着したであろう見えない切子の洗浄もしておきます。
一般的に使用されている口金は薄板の絞り方式による製作で0.2mm程度です。

いつもなら自作治具でメーカー方式でリング状にプレスします。

この口金は厚いのです、切削による製作で0.5mmあります。

プレスできません!、方式を変えて口元を絞ります。

この口金の使用でしたらインナーケーブルに付かないように気を使えば、エポキシ系の接着材方式でも十分です。
インナーケーブルはモリブデングリスを塗布しながら挿入します。

インナーケーブルは片側のニップルを半田付けしてからの方が熱的に有利です。

私はインナーケーブルにゴミ等が付着するのを避けるために先に通してしまいました。
ミッション側の梨型ニップルを通してテープで仮止めです。

インナーケーブルの先端を放射状に均一に開きます。

ニップルを仮固定しませんと芯線を開く位置がずれます。
余分なワイヤーをカットして形を整えます。

接合強度を上げるためにアセトンで脱脂して半田付けします。

タイコにスリットを切ってワイヤーを90度に折り曲げる方式もあります。

私は折り曲げ方式は絶対に採用しません。

放射状に開く英国式のほうが手間は掛かりますが、安全確実です。

フラックスはステンレス用を使用しています。

酸化の要因になりますから半田付け後に綺麗にアセトンで洗浄します。
クラッチレバー側も同様の方式にて完成です。
手動進角ケーブルはボロボロです。

ティクラー使用でオーバーフローしたガソリン攻撃により相当ダメージを受けています。

勿論、新規に製作します。
ポイント側の進角ケーブルのタイコは特殊な形状をしています。

汚れているだけですから再利用しましょう。
Manxの友人の教えて頂きました。

ホーザンのワイヤーカッタです。

インナーワイヤー、アウターワイヤーケーブル専用のワイヤーカッターです。

使用感は最高です。

切断してもアウターケーブルのスパイラルチューブは潰れません。

インナーケーブルも気持ちよく切断できます。

夜間でも遠慮なくワイヤーの製作が出来ます。
同様の方式で、フロントブレーキケーブル、スロットルケーブルも製作しました。

半田付けによる強度は思う以上にはあります。

通常の電気配線ですと、2sq程度の銅撚り線でしたら引き千切れば半田付け箇所以外から切断します。

しかし、これは電気的に必要とされる接合強度でしかありません。

電気的に使用する場合にはどんな部品でもリードや端子の形状が見える形で半田付けするのが基本です。

機械的な強度を必要とする部分への半田付けは逆に形状が隠れる十分な量の半田付けを行ないます。

半田付けは、170℃〜370℃辺りの温度で溶ける合金を用いて金属を接合することです。

接合の強さは化学組成と接合される面の清浄度に由り左右されます。

フラックスの使用は酸化膜除去効果が目的です。

フラックスは表面が酸化することと、大気との相互作用を防ぐように作用します。

アルミの溶接のアルゴンと一緒ですね。

接合は基本的に合金反応です、溶接ではなくロウ付けの一種です。

接合したい母材の間に溶融した半田を流し込み、その部分で合金化反応を起こし接合します。

この反応は銅対銅が一番です。

今回は真鍮と鉄材です。

機械的な強度を得る為の半田付けは電気的な目的とは違います。

板金等ですと合金反応による半田自体の機械的な強度に依存しています。

この強度ではクラッチ、ブレーキ等では持ちません、アクセル、進角ワーヤーでしたら大丈夫ですが。

ブレーキ、クラッチケーブルの終端処理の場合には合金の強度には頼っていません。

実質的にはケーブルの廻りに合金を接合してケーブルそのものを太くして抜けなくしています。

ニップルに溝を掘りケーブルをTの字に振り分けた半田付け方法が取られているものもあります。

もっと簡素に90度に折り曲げて片側だけの半田付けの仕様も見受けられます。

しかし半田はカッターナイフ等で簡単に削れてしまいます。

万が一半田付けが外れますとニップル内に半田合金が削られながら引き込まれることになります。

最後はニップルから抜け落ちます。

注意していればクラッチの切れが深くなります、ブレーキレバーも握りが深くなってきますから解りますが。

T字に振り分けても2本です、ケーブルに周りの半田合金の表面積は僅かです。

1本一本の芯線に半田合金を付けて表面積を上げたほうが有利です。

英国式に放射状に芯線を広げその隙間を半田で補います。

数は力です。

やはり半田付けが外れますと沢山のワイヤーの廻りに形成された合金はニップルに引き込まれようとします。

放射状に広がったケーブルの隙間を大量の半田が埋めています。

この半田が障害となりワイヤーが寄り集まるのが難しくなり抜けにくくなります。

実質的な強度が上がります。

ブレーキは絶対に効かなくてはいけません。

クラッチはその必要時に絶対に切れなければいけません。

私が英国方式に拘り、単純なスリットへの折り曲げ方式を採用しない理由です。
コントロールケーブルの作成