走ること、発電に不自由は有りませんが友人のダイナモをOHするのに合わせて一緒に行ってしまいましょう。
メグロ S7 No.2
ダイナモのオーバーホール
DC12V 80Wのダイナモです。

前回は特にダメージも感じられませんでしたので軽く洗浄しただけで取り付けてあります。

以後の走行は300km程度です。
ダイナモスプロケットは専用プーラーで簡単に外します。

プーラーは自作です。


使用されているのはカムアウトしやすいマイナスネジです。

最初からインパクトドライバーを使用します。
バンドを外して中を覗きます。

フィールドコイルの引き出し線は長さが違います。

外皮の色も違いが有ります。

汚れでハッキリしませんが、白と黒でしょうかね。
ブラシ側のベアリングはアマチュア(ローター)と共に抜けます。

10数台のダイナモをOHしていますが全て一緒に抜けました。

ハウジングの磨耗でなく初期の仕様にも思えますが通常は考えられません。

ベアリングは軸用のベアリングプーラーで引き抜きます。

プーラーを使用しないと抜けないところを見ますとハウジングとの勘合は正常かな??
スプロケット側のベアリングは確実に圧入されています。

こちらは内径用のプーラーで引き抜きます。

ハスコーです。

値段はチョット高めですが確実にホールドしてくれます。

因みに1/10価格のプーラーでは爪の強度不足で滑って抜けませんでした、笑
同じ12Vのメグロ ジュニアのダイナモのアマチュアです。

アマチュアのコア形状に違いがあります。

ストレートコアが依頼されたダイナモのアマチュアです。

手持ちのダイナモは全てスパイラルタイプです。

コギング対策でしょうかね。
アマチュアはコミュンテータのセグメントが僅かにカーボンで汚れていますが良好です。

ワイヤー、絶縁状態もダメージは感じられません。

セグメントは0.1mm程度の軽い磨耗です。

均等に磨耗しており偏磨耗はありません。

状態はかなり良いと判断しました。
依頼されたダイナモも同程度の状態です。

違いはコアだけでなく各セグメントへの配線は絶縁チューブで保護されています。
コミュンテータは真円を出す為に改めてセグメントを旋盤で軽く加工します。

0.5mmの銅板を焼きナマして軸を保護してチャックします。

振れ止めに芯押し台からセンターで押さえます。

加工後はチャックしたまま回転させ僅かなツールマークを消す為に#1500のスポンジペーパーで磨きを掛けておきます。

セグメントは純銅ですので粘りがあります。

コミュンテータのセグメント間は念入りにバリ取りしないといけません。
ベアリングは無条件交換です。

ステンレスの両面シールドタイプで行きます。

スプロケット側 6202ZZ

ブラシ側 608ZZ

Oリングも新品に入れ替えです。

業務用として必要数をバラで取り寄せます、性能に差は全くありません。

箱入りでも安価で入りますが化粧箱が無い分、更に安価です。
ヨークとフィールドコイルはオイル塗れです。

以前はヨークに再メッキを施しましたが状態も良いので今回もパスします。

樹脂に優しいアルコールタイプのクリーナーで洗浄です。

一般的なキャブクリーナではダメージが大きいです。

ブラシ、端子廻りはキャブクリーナで洗浄するに留めて起きましょう。
ベアリングは手動プレスで圧入します。
外観はそっくりですが違いはアマチュア以外にもあります。

ブラシ側のハウジングの材質はアルミダイキャストから鋳鉄に変更されています。

ベアリングハウジングの変磨耗対策でしょうかね。

ブラシ部分の絶縁方式も大きく違います。

右はベース部はべーク製です。

右はハウジングと一体にしてブラシマウントだけをべークで絶縁してあります。

後のW1のダイナモと同構造ですね。
オーバーホールするのに合わせてカーボンブラシを特注でお願いしました。

100本で¥?

確り調整されたダイナモブラシは10,000Kmは持ちます。

こんなにどうしましょう、笑
カーボンの長さは気持ち長く製作されています。

リード線の絶縁はガラスチューブです。
組み立て後は試験をしましょう。

フィールドコイルのF端子をグランドに落としてA端子とE端子間にDC12Vを掛けます。

モーターに変身です、異音も無く静かに廻ります。

勿論、火花は飛びません。
チリル式レギュレータは以前OHしていますので問題ないでしょう。

念のためエンジンを掛けて電流計でチェックします。

問題ありませんね、完成です。


1口メモ?

ダイナモOH後のモーター試験に於いて軸の回転はヨークに刻印された→方向に廻るのが正規の回転です。

逆回転する場合には車体に取り付けても発電が行われません。

逆方向に回転するのは、フィールドコイルの配線がA端子、F端子で逆に成っていますので接続し直しましょう。

ダイナモへのプラス、マイナスの接続を入れ替えても回転方向は変わりません。

車体に搭載された状態でのダイナモの回転方向はヨークの→刻印と逆方向での発電と成ります。


おまけ

調整の悪い整流子電動機、発電機からはコンミュテータとブラシの間で青白い火花と共にオゾンを発生します。

オゾンは非常に酸化作用が強い物質です。

タイヤ等の合成ゴムは電気設備、モーター近くへの保管を避けた方が無難です。