Velocette Viper
英国車は電装はルーカス、メーターはスミスのクロノメトリックですね。

伊国車はCEV、Vegliaですかね。

クロノメトリックは1960年代初期まで使われています。

その後のスミスは電磁式に変わりました。

私のVelocette Viperには見慣れたクロノメトリックともグレーフェイスとも違う見慣れないスミスのメータが。

1959のヴェロセット ヴァイパーですからクロノメトリックが使われていた年代です。

通関時からのメーターですから英国ではポピラーなタイプなのでしょうか。

他のクロノメトリックを修理する序でに気になっていたヴェロセットのメータを観察して見ましょう。

タコメータも覗いて見ましょう。
Smiths Chronometeric
スミス クロノメトリック


スピードメータ
CHRONOMETRIC

MILES-PER-HOUR

SC3308/00 1584

120MPH

Velocette Viperに付いていたスピードメーター

もしかしてとっても貴重!?
CHRONOMETRIC

SC.5301/26 1512

MILES-PER-HOUR

140MPH

スミスのクロノメトリックのマイルメータには30マイルの位置に白線が入っています。

電磁式と違いゼロ位置にニードルストッパーは有りません。
CHRONOMETRIC

SC.3304/11 1692

MILES-PER-HOUR

120MPH

ニードルに僅かな違いが有ります。
CHRONOMETRIC

S.546/3/N 1450

MILES-PER-HOUR

120MPH

ニードルタイプに違いが有ります。
CHRONOMETRIC

SC.3304/11 1692

MILES-PER-HOUR

120MPH
CHRONOMETRIC

SC3304/24 1548

MILES-PER-HOUR

120MPH

各ギアポジション用のタコ振りが付いています。

30マイルラインはオレンジです。

センターに小さく6Tと有りますのでトライアンフ用と思われます。
CHRONOMETRIC

SC.5301/26 1512

MILES-PER-HOUR

140MPH
CHRONOMETRIC

S.467/163/N 1550

MILES-PER-HOUR

120MPH
CHRONOMETRIC

SC.3305/04

MILES-PER-HOUR

120MPH
CHRONOMETRIC

S.433/3/L

MILES-PER-HOUR

120MPH
CHRONOMETRIC

S.467/23/N

TRIUMPH PATENE APPLIED FOR

KILOMETERES

180KM

タコフリ付き

キロメータ用にはラインはありません。
CHRONOMETRIC

S.608/5

KILOMETERES

140KM

SMITHSのロゴに特徴があります。

ニードルが折れています、ついでにレストアしましょう。
おまけ
スミスの電磁式です。

Made in England でなくMead in UK の記載になっています。

UKはUnited Kingdom of Great Britain and Northern Ireland

グレートブリテン及び北アイルランドから成る連合王国がUnited Kingdomです。
Great Britainはイングランド、スコットランド、ウェールズで構成されています。

旧英国車での英国はEnglandだけを指します。
レストア
ヴェロセットに付いていたスピードメーターを比較しながら中を覗いてみましょう。

左側 Velocette

横から見ますと高さが5mmほど違います。

外径は同一です。
グレー色は当時の塗装です。

裏側の造りは同一です。
ベゼル廻りは他のクロノメトリックと一緒です。
メーターパネル裏側のパッキンには何か記載がありました。

電話番号も入っています。

OHした時のものでしょうね?

左上は時計の下に敷かれたパッキン材です。
メーターパネルの大きさは違って見えますが同一です。

数字の記載部分が1段プレス加工で上がっています。

パネルの固定位置にも違いが有ります。

ヴェロセットのメーターにはパネルを取付ける為の変換アダプターが付いています。

ニードルの折れていた140KMを比較の為に開けました。
全くのクロノメトリックメーターです。

写真はトリップメータのリセットがボディーサイドとリアでの違いがありますが。

ボディーの高さの違いはH型のアダプタとメーターパネルの厚さ分と判明しました。
見慣れたクロノメトリックのメータパネルと交換しても取り付けられます。

本体のメーターパネルのネジ穴は4箇所あります。

メーターパネルは上側2本、下側2本、上下4本で固定する3タイプがあります。

どのタイプのメーターパネルにも対応しているようです。


ヴェロセットのメーターパネルは3本ネジ留め、珍しいですね。
もう1個トリップメーターの戻しが利かない・・

リセットノブその物が無いメーターも一緒に直しましょう。
ボディーサイドにリセットノブが付くタイプ
ボディー底面にリセットノブが付くタイプ。

スピードメータをナセルヘッド、ライトシェルに内蔵する時に使用されるタイプです。

リセット部のアッセンブリー交換で側面、下面リセットに対応しています。


取付けは出来ますが互換性はありません。

トリップカウンター軸のリセット用ギアが違いますので入換えが必要です。
リセットの利かないメーターを観察しますとリセット駆動ギアがありません。

リセットシャフトも切断されています。

メーターをプレートパネルへ取付けるのにシャフトが邪魔に成ったと思われます。

逃げ穴を作れば済むと思いますが・・・・
本来は下側のようにギアが付いています。

横に伸びたレバーがトリップメータの駆動ラチェットを押し下げてフリーにします。
トリップリセットから手を付けましょう。

意図的に外されたギアと軸の補修です。
趣味の蓄音機、柱時計のギアは旋盤で相当数製作しました。

お手軽に行きます。

パーツ取りから交換です。

スプリングレートも違うようですね。
抜いて差し替えるだけです。

何の参考にも成りませんね、笑
本格的に楽しみましょう!
トリップメーターの痛みが酷く剥がれて来ています。

リセットノブホルダーのネジも何故か有りません。

機能其のものには特に問題はありません。


初期のリセットノブが側面に付くタイプのです。

後期タイプと違いはオド、トリップカウンターの保持方法に有ります。
クロノメトリックの心臓部、ムーブメント

時計と云うより、クロノグラフ(ストップウォッチ)ですね。

スイングピニオン式かな。

ドライビングホイールからスイングピニオンの動きは感動します。

レコーディングホイール、クロノグラフホイール、トランスミッションホイールが見て取れます。

トランスミッションホイールはベーク製です、oilが切れますと固着し一気に磨耗します。

不具合の多くはギア磨耗による物も多いですね。
SMITHS MOTOR ACCESSORIESの刻印があります。

刻印が無いものも見かけます。
此処までは楽勝です。
中央の4枚、各種ホールド用のリーフスプリング



左側、ガバナ用 コイルスプリング(ヒゲゼンマイ)

右側、表示リセット用 コイルスプリング
ムーブメント 全バラ

左側中央のべーク製ギアは磨耗し回転に多少の不具合があります。

このアイドルギアはギア下側1/3程の位置だけで左右のギアに動力を伝えています。

他のギアはスチール製で厚さは0.8mm程ですので未接触部分は当時のまま?

裏表を入れ替えて組み直します。

しかし何故べークなのか?
オド、トリップメーター駆動用パーツ
ギア、ウオームギアはオド、トリップメーターの駆動用です。

右側 Mile用、左側 km用

MileとKmのメーターの違いはギア、ウオームギアのみ?

まだ検証不足です。

ムーブメント他の部分は全て同じ仕様で構成されています。

軸に付いたギアはムーブメントの駆動用、Mirie、Kmとも同じギアです。

スピードレンジの違いはレコーディング、クロノホイールの違いのようです。
トリップカウンタ駆動のラチェットです。

オドも長さは違いますが同タイプです。

材は製造年?により真鍮、鋼の2種類のタイプが有ります。

真鍮製は先端が磨耗しギアをプッシュするストローク不足の不具合が出ている固体も有ります。
クロノグラフのピラーホイールと同じ役割、最重要パーツかな。

スタート、ストップはガバナで制御されています。

軸には4種類のカムが配置されています。

リーフスプリングでホールドギアのリセットタイミング用です。
カウンターは予備パーツと入れ替えます。
オド、トリップカウンターのパーツ

点数は有りますが繰り返しですので組むのは差ほどでも?
カウンター完了

綺麗になりました。
カウンター駆動部完了

Km仕様で組みました。

エキセントリックカムでカウンターは駆動されています。

スミスのクロノメトリックは逆転させても数字は戻りません。

一旦この段階で動力を入れ動作チェックをします。

完璧です。
ムーブメントを載せて完了です。

簡単?、老眼進行中ですので極小パーツは良く見えません。

ムーブメントを組むのに1時間も掛かってしまいました。

以前は半日掛かりましたからスキルアップしているようです、笑

再度、動作をチェックします。
ケースも直しましょう。

リセット部分に改造がされていたメーターに使用されていたケースです。

トリップリセットシャフトの穴が溶接により埋められています。

大胆にギアもシャフトも切り取ったのに、こんな所に気を使わなくても良いと思いますが。
ニードルの折れていたメーターは取り付けのスタッドも外れていました。

スポット溶接のようです。

ロウ付けで直します。
ケースにはSMITHS MOTOR ACCESSORIESの刻印が有ります。

文字盤の様なマークの刻印も有ります。

SMITHSの刻印だけの物、マークだけの物とケースは3種類ほど有るようです。

細かく云えばトリップノブの位置の違いも有ります。

タコメータ用にはリセットも有りませんがパイロットランプの取付けコネクタも有りません。
ケースは綺麗に成り過ぎました。

ブラスト後に内外ともにウレタンの焼付け塗装です。

内側は照明の効率を上げる為に白です。

全ての光を乱反射させると白です。

透明と白の違いは光を全透過するか全乱反射するかの違いです。

因みに無反射は黒、完全反射は鏡面かな。
固着したべゼルを外す際に破損したガラスも入れ替えます。

割ったのは1枚、もう1枚は予備です。

サークルガラスカッター使用し切断しました。

t2.0mmです。

オリジナルはt2.8mmですが差分はベゼルのネジ込みで吸収できます。
べゼル、Oリング、パッキンも入れ替え気分一新です。

リセットノブは真鍮で製作しローレットを掛けて有ります、写真には・・・・・
修理完了。

完動品のクロノメトリックメーターがまた増えましたね。

コレクターではありません?

車両にも5個付いています、パーツ取り用のクロノメトリックもまだ数個有りますが・・・・・

・・・・・、やはりコレクターか!?
タコメータ
CHRONOMETRIC

R.C.1304/00

2:1

Clockwise
CHRONOMETRIC

R.C.1303/03

4:1

Anti Clockwise

このタイプを使用したのはTriumphしか記憶に有りませんが・・・・・・
おまけ
レーシング用

A.T.R.C 2652/N

4:1
レストア
CHRONOMETRIC

R.C.83

4:1

Clockwise

可動です!

このメーターが似合うバイクがありません。
スピードメーターと違いケース内は空々しています。
パネルのみ入手出来れば簡単ですが・・・・・
真鍮製のメーターパネルの裏面に走り書き?

1931と鉛筆での記載があります。

76年前のタコメータですか。

感慨深いものがありますね。
saucerタイプは在庫にありません。

在庫のタコメーターパネルはplateタイプです。

スピードメーターと同じネジ留め仕様です。

ネジ留め仕様が存在するという事はスピードメーターと同じ仕様が存在するはず!?
流用可能!?

チェックしてみます。

放置され雨ざらしにされたBSA B31に付いていたクロノメトリックスピードメーターです。

今までもクロノメトリックを修理していますがタコメータと比較したことは有りません。
各ギアにも錆が進行しています。

英国のリビルト屋さんにお願いすれば綺麗になって帰って来ますが。
タコメータと比較

トリップ、オドメーターを除けば非常に良く似ています。

左側のタコメータの真鍮プレートの左右の飛び出しはベースへのスタッドです。
裏面の比較

眺めれば眺めるほど造りが似ています。


タコメータ架台の左上角は後期には廃止されています。

スピードメータ、タコメーターの前期タイプの証しです。
行けそうです。

スピードメーターをバラします。

オド、トリップ部のみ取り外します。

予備?、不要パーツがまた増えてしまいました。
クロノメトリックの心臓部はムーブメントですのでお気楽です。

左側 スピードメーター

右側 タコメーター
クロノメトリックのベース架台

左側 スピードメーター

右側 タコメーター

間違いありません、違いはトリップ、オドメーターの取付け部だけです。

穴位置は全て同じです。

3箇所の茶色に見えるのはフェルトです。

オイル等の潤滑剤を保持する為と思われます。 
スピードメーターのベースにタコメータの心臓部を載せ換え完了です。

完全互換です!!

何の問題もありません。

位置決め用のノックがベースに有りますので気を使う事も無く簡単です。


フェルトに給油を忘れずに。

上の駆動軸用のフェルトにはワッシャーが1枚載ります。
左側のスピードメーター用は極初期タイプと思われます。

ムーブメントの取付けは互換ですかオド、トリップカウンタの保持方法が違います。

タコメータのサポート取付けの加工が有りません。

スピードメーターの架台でも左側は流用出来ません?

サポートを使わなければ問題なく取付け出来ます。

サポートの役割は???です、力も掛かりませんし必要性を感じません。

実際スピードメータには有りませんし・・・・・・・
完成です。

パネルに型式の記載はありません。

ニードルはスピードメーター用を取り付けました。

補修メーターには補修品で対応?

先に有った折れていたニードルをt0.3mmの真鍮で補修した物です。

燐青銅の方が良いのですが折れたニードルは真鍮製でしたので。

ニードルの形状に由りアルミ製のタイプも有ります。
ケースはブラスト後にウレタン焼付け塗装です。

内部は白、外部は黒です。

パイロットランプが入りませんの黒一色でも良いのですが。

ケースにスピードメーター用を使用すればパイロットランプは取り付け出来ます。

トリップリセットノブの穴は塞がなくてはいけませんが。
見違えてしまいました。

ベゼル、パッキンも新品にリフレッシュしました。

動作チェックも終了です。

さて、どのバイクに取り付けましょうか!
特別公開?、Anti Clockwiseタイプのタコメータ駆動部です。

ムーブメントはClockwise共通ですね。

アイドルギアを1枚入れ回転方向を変換しています。
Clockwiseは直接駆動です。

軸にウオームギアは有りません、不要部がありませんのでスッキリしていますね。

Clockwiseはスピードメーターと共通のウオームギアが付いた軸です。

アルミダイキャストのベースは初期のスピードメータ用と共通でした。
メーターのチェックツール?です。

オリエンタルモーターに専用のスピードコントローラーを接続します。
CW、CCW切替、任意の回転数が得られます。
60Hzでmaximum 1700rpmです。

以前はフォトセンサーとデジタルカウンターを組込んでいましたが不具合を起こしバラック状態で使用中です。
右下の非接触回転計で回転数を計測して計算数値とメーターの表示をチェックします。

左下は点火系から非接触で回転数を計測します。
エンジンを掛けてのタコメータと比較、タコメータの非装備車のチェックに使用しています。
クロノメトリックを修理するたびに幼少の頃に家中の時計を全て分解したのを思い出します。

クロノメトリックは時計と云うよりストップウオッチそのものです。
自動計測しながら常にその測定結果の数値を表示しています。
クロノメトリックのメーターパネルの表示が均等割り付けなのはその表れです。
電磁式は回転が弱いと発生する電流も弱く、特に低速度での表示は不均等な割り振りと成ります。
クロノメトリックのゼロ位置は機械的に決まりますので電磁式と違いダンパーは有りません。
従ってゼロ位置のストッパーもクロノメトリックには必要無いのです。

クロノグラフと言っても良いのですがクロノグラフはストップウオッチ機構が内蔵された時計での呼び方です。
因みにクロノメーターは、C.O.S.Cが認定した高精度なムーブメントのことです。
C.O.S.C.(Controle Officiel Suisse des Chronometres)、スイスクロノメーター検定協会です。
認定品にはCHRONOMETER、CHRONOMETER OFFICIALLY CERTIFIED表記が有ります。


独特の針の動きの仕掛けは置き針方式に似ています。
計測中には針は動きません。
従ってスピード、回転にリニアに反応はしません。

計測タイミングの駆動はガバナにて行われています。
ピラーホイールに配置されたカムに由りセット、リセットを繰り返します。
計測した数値(ギア)をリーフスプリングで保持します。
計測タイミング毎に数値をリセットするようにリーフスプリングが外されます。
次回計測でこの数値を上回ればその分ギアをクリックして押し上げます。
数値が下がればスプリングが解除されている時間分だけリセット用のコイルスプリングにて針が下がります。
この時間内に戻り切れませんと針は其処で一旦ホールドされ、次回の計測タイミングで戻ります。
手動でドライブすると針が戻り切らない状態が生じるのはこの為です、けして壊れているわけでは有りません。


時計ですので速度による誤差の変化は有りません。
計測ギア1回転毎の測定結果を常に表示しています。
数値(ギア)をホールドしていますので振動で針が踊ることもありません。

スミスのMileメーターをKm表示のメーターに交換するにはリアハブに取り付けるギアボックスも交換しなくてはいけません。
オド、トリップカウンターに対応する為です。
スピードギアボックスのギア比はMile 15/12、Km 2/1を使用します。
メーターパネルのみをMPHからKPHに交換すればスピード表示の分割割合が同じですので表示誤差は生じません。
Max表示の1.6倍換算したパネルにですが。
但し、オド、トリップメーターの表示内容はMileのままですが・・・・・・・・・・。

Km用はギアボックスでMile用の1.6倍の回転にしています。
因みに1mileは1609mです。

メーター内部でギア比を換えているのにピックアップ用のスピードギアボックスもMile、Kmと2種類有るのは?です。
私の検証違いかな〜