良い圧縮、良い混合気、良い火花、三大要素の内の圧縮を書きませんと手落ちのような気がしてきました。
良い混合気は
空気とキャアブレターのお話、良い火花は
電気のお話、
点火方式のお話に書きましたから。
圧縮は
エンジンのお話にチョッと書いたような気もしますが・・・・・
何の為に圧縮するのでしょうかね。
膨張させる為・・・これでは答えにならないでしょうか。
ディーゼルエンジンは20:1くらいまで圧縮していますね。
ガソリンでこんなに圧縮比を取れば空気の温度が550度以上にもなってしまいます。
圧縮途中で勝手に燃焼が始まってしまいますからこんなに高い圧縮比はキャブ方式では無理ですね。
GDIなら大丈夫か、ジーゼルのように空気だけを吸入し圧縮してからシリンダにGASを噴射すればOKでしょうか?
燃焼させても全てのエネルギーを使っている訳ではありませんので、・・・・ん、効率は悪いですね。
高出力を求めなければ熱エネルギーをもっと有効に使うミラーサイクルがありますね、米国のミラーさんかな。
確かプリウスがこのタイプのエンジンだった気がします、呼び方がチョットちがったような気がしますね・・・アトキンソンサイクル?
マツダさんも何かやったような気がしました、過去形・・・失敗のようです?
考え方はピストンの上昇途中までバルブを閉めないまま、お腹いっぱい吸い込まない?、一度吸っているのを吐き出している?
腹8分吸って爆発させたら、ピストンが下がりきるまで排気バルブを開かない・・・・・
排気量を1000ccとして考えれば、たとえば吸入は800cc、排気は1000ccということになる。
税体系が排気量で良かった?、吸気量だったら・・・・・・・・・・・・・・
しかし排気量1000ccでも、パワーはやはり800ccかな !?
この辺りが熱膨張比サイクルと呼ぶ由縁らしい。
まあ、省エネルギーにはなります。
通常のエンジンの場合、圧縮と膨張は基本的に同じ比率です。
ミラーサイクルでは膨張比の方が大きくなっています。
圧縮行程時に吸気弁の閉じるタイミングを遅らせて無圧縮行程を取っています。
結果、圧縮より膨張行程が多くなり、膨張比を増大させていますね。
高効率化ということでしょう。
高回転、高出力を求めて、吸気サイクルでは吸気バルブは下死点で閉じ、排気サイクルでは排気バルブを下死点で開く。
バルブ動作のタイムラグがありますから、あくまで下死点付近ですが。
ターボチャージャーもありますね、ターボは逆の考え方ですね。
元々空気の薄いところでのジェット航空機用の考え方でしょう。
過給器ですね、 本来はタービンの意味です。
エンジンから排出される排気ガスの圧力を利用してタービンを回し、エンジンに吸入する空気の圧力を上げるシステムです。
大気を圧縮することで大気の圧力を上げて強制的に空気を燃焼室に送り込みます。
強引にエンジンに吸入させて、エンジンの出力を高めようとしたものです。
インタークーラー付きターボチャージャーは空気を冷却して吸入りする空気密度を上げるシステムです。
スーパーチャージャーはメカニカルスーパーチャージャーです。
動力として、エンジンの出力を利用しています。
いろんな事をして得たエネルギーの無駄使いはいけません。
ターボ付きエンジンは、強制的に食事を与えて作られたフォアグラみたいですね、動物虐待?
エンジン虐待で訴えられそうなターボエンジンです。
良い圧縮でしたね。
圧縮、膨張を直接的に受け持っているのはピストンです。
普段あまり気に留めないピストンリング・・・・
圧縮のお話は、これで行きましょう!!
ピストンリングとピストンそしてシリンダライナー、スリーブの気密性と摩耗についての関係などと言う大げさなことにしましょうか?
初期の頃はピストンリングは1本でした。
現在では3本が主流でしょうか。
コンプレッションリングと呼ばれるトップリング、セカンドリング、それにオイルリングでしょうか。
大体ピストンピンの上側に配置されています。
中にはスカート下部にリングを取り付けているタイプもあります。
自己張力を持っっていますが無理すると簡単に折れますね。
リング自身の張力でシリンダースリーブと密着させます。
燃焼ガスの漏れを防ぐようにトップリングとセカンドリングは、同じ位置に合口がこないようにセットします。
でもピストンの上下運動時に溝の中で回転しますから、どうでもいいと云えばどうでもいいんですが。
2サイクルは吸気、掃気、排気ポートがありますから溝内にノッチピンが打ってあり回転しないように出来ていますね。
ポートにリングが引っかかれば壊れますから。
これを見ますとやはりリングは回転していると考えるのが自然ですね。
2サイクルにはオイルリングは無かったですね。
ピストンリングの役割を考えて見ましょう。
一番は気密性でしょうか。
混合気、燃焼ガスをシリンダーとピストンの隙間からクランクケースへの漏れを防ぐのが狙いです。
伝熱の役割も重要です。
燃焼ガスによる熱をシリンダに伝える役目ですね。
ピストンは直接スリーブ、ライナーに接触していません、直接接触しているのはリングですから。
7、8割はこのリングを通しての熱をシリンダに伝達しています。
忘れてならないのがピストンの姿勢制御です。
シリンダにピストンが直接接触するのを防いでいます。
こんなものでしょうかね。
クランク室から掻き上げてスリーブに付いたオイルも掻き落としています。
これはオイルリングの役割ですね。
オイルも多ければ良いという訳でもありませんから。
当然、油膜として残るオイルが少なければ焼きつきを起こします。
多いとスラッジの発生量が増えますね、オイルの消費量も当然増えますが。
意外に思いますが、リングから漏れるガスの量は回転が低いほど多いんです。
回転の低いディーゼルエンジンのコンプレッションリングが多いのはそんな理由からです。
エンジンの負荷が軽い時にも漏れる量か多いです。
でもどんなに頑張ってもブローバイガスは、漏れてしまいます。
バルブ、ヘッドガスケット多分プラグのガスケットからも漏れています。
クランクケースに漏れるブローバイガスが一番厄介でしょうか。
コンプレッションンリングを増やしてもいいのですが、摩擦抵抗も増えてしまいます。
ラビリンス効果だったかな?
意外に負荷が軽いと漏れる傾向にありますね。
スリーブとピストンリング間では漏れません、勿論、合口がありますからゼロでは有りませんが。
基本的にピストンからピストンリングを通って漏れていますね。
ピストンのリング溝のピストン側とピストンリングの間から漏れるんです。
そう、ピストンの形状を舐めるように、ピストンリングの後ろ側をガスが抜けるんです。
正面をガードしてたら、背後からヤラレタということでしょう。
フラッタリングによる漏れもあります。
溝の中でリングが踊る現象です。
コンプレッションリングは外周だけでなく上下の面の平滑度面粗さも非常に重要になります、1μmくらいに仕上げられています。
これも意外?、常識かな、最も張力の高いのはオイルリングなんです。
コンプレッションリングより幅もありますね。
摩擦抵抗が大きくなる気がしますがオイルまみれですから意外に良いのかも?
スリーブに掻き上げられたオイルをしっかりコントロールしませんと燃焼室にオイルが混入してしまいます。
俗に言うオイル上がりです。
オイルリングの正式名称はオイルコントロールリングなんです。
そう、まんまオイルのコントロールをする為に付けられているリングなんです。
摩擦のコントロール、熱伝達のコントロール、燃焼室へのオイル混入コントロールでしょうか。
ガスのシールもしてはいますがオマケです。
オイル上がりをもうチョット考えて見ましょう。
これにも2種類?はあります。
ポンピングによって運ばれるオイルと熱によるオイルの蒸発によるものですね。
オイルの蒸発??
オイルも揮発油ですから蒸発するんです。
一般的に使用されているエンジンオイルですと160℃を越えた辺りから蒸発が激しくなります。
ジーゼルでは低蒸発性と呼ばれるタイプが使用されています。
燃焼効率が良いのは120℃辺りですから、オイル温度も120℃付近に保てれば良いですね。
この温度でしたらオイルの蒸発に気を使うこともありません。
オイル温度=シリンダスリーブ温度とは成りませんが、目安としては良いのではないでしょうか。
120℃が良いと言われても困りますね。
実際にはこの温度になるようにフィン、ウオータージャケット、クーラー、ラジエター・・・を設計段階で設定されています。
トータルで設計していますから一部カスタム等すれば当然バランスは崩れます。
オイルの純正指定は、潤滑性能だけでなく熱伝導率、蒸発性等も考慮に入っています。
熱の発生源は勿論燃焼によるものです。
この熱に変わった部分はエネルギーのロス、変換効率の悪さですからなんともです。
ピストンその他の運動に由る発熱も有ります。
燃焼による発熱に比べれば微々たるもの?、そんなことはありません。
摩擦熱はピンポイントで発熱すれば、1000℃を超えます。
シリンダの鋳鉄は1150℃で溶解してしまいます。
ライターの無い時代?、原始時代の点火方法ですから。
燃焼による発熱量のうち、5から10%程度の熱がピストンに伝わります。
頂点部で約300℃くらい、トップリングあたりで200から230℃くらいの温度です。
この熱を逃がさないと理想の温度とはなりません。
伝える先はシリンダーでしょか、この先でフィンでの冷却ですね。
ウオータージャケットに伝達しての水冷、油冷等もありますが、私は空冷好きですから。
ピストンの受ける熱量の約70%はトップ、セカンド、オイルリングなどを通してシリンダーへ熱を逃がします。
これでシリンダー部の温度は110から150℃くらいまで下がります。
実際には高負荷ほど燃焼速度は大きくなりますから最高温度も高くなります。
高回転ではガス流速も速くなりますので、同様に大きくなります。
ご存知のようにオイルにはシングルグレードとマルチグレードがあります。
一般的にはマルチグレードのオイルが使用されています。
100℃以下では粘性もあり、蒸発もしにくいのでその性能をフルに発揮できます。
120℃を越えてきますと、シングルグレードよりもマルチグレードの方がオイル消費が増えるというデータもあります。
特に旧車に最適な鉱物オイルはその傾向が強いとも言われています。
あまり一般的では有りませんが10W-40、10W-50が良いようです。
私は旧車にはアマリーを使用していますが、ドカの900SLにはomega oilを使っています、
パラフィン系です。
私と同じ、omegaです?、Ωmega の表記ですね。
ワイドレンジで*W-40、50、60と有ります、モータースポーツ系には良く使用されています。
オイルの消費量もチョット考えておきましょう。
一般的な10W-30あたりで考えますと、オイルの温度が90℃として 4g/hくらいです。
高速道路等を走ればオイルの温度は110〜120℃くらいでしょうか、5g/h程度に消費量は増えますね。
目的地への時間から行けば一般道で400km走行すれば10時間程度掛かります。
高速道路でしたら4時間でしょうか。
オイルの消費量からすればエンジンの稼動時間が長い一般道の利用のほうが多くなることになります。
旧車ではオイル漏れもありますから・・・・・・・笑
オイルの粘性が大きいほど消費量は少なくなりますが、逆に燃費は悪くなります。
燃焼によるピストンの熱を最初に受け渡す媒体がオイルです。
このオイルの潤滑性能もちょっと考えましょう。
この熱の伝達と潤滑が旨く行われませんと抱きつき、焼きつきと成ります。
抱きつきは焼きつきの一歩手前でエンジンの廻りが悪くなります、吹け上がらない感じです。
多気筒では片肺気味になる症状も出ますから案外解りやすいですね。
この現象にも2種類あります。
仕事柄良く見ておりますのがスカッフィングと呼ばれる引っかき傷のようなものです。
私達が言うスカッフィングは歯車などの高荷重を受けるすべり摩擦面の潤滑膜が破れて両面が接触、融着し、再び引きはがされた結果生ずる凝着摩耗の激しい物のことです。
エンジンでいけば焼きつきです。
もう一つはスティッキングと呼ばれる強く打ちつけたような傷、打錠痕です。
原因としては燃焼堆積物です。
燃焼により生成されるカーボン、未燃焼物質などです。
これが凝集してスラッジ状となります。
潤滑作用が追いつかなくなり、摩擦の上昇と金属部品の磨耗の大増が起こります。
ピストン、シリンダー部分にスカッフィングの発生、ピストンリングにスティッキングが発生します。
最悪はクランクベアリングの焼き付きを誘発します。
最近のハイオクガソリンには洗浄効果の高いものが多いですから旧車には最適です。
エンジン内部品の腐食や磨耗を防ぐとともに、スパークプラグへの堆積物付着や異常燃焼を防止することができます。
エンジン内部や排気口をキレイに保ちますから、バイクの寿命を延ばすこともできるのです。
スカッフィングの問題は摺動面の温度に関連して起こります。
オイルはその油温に対して粘度低下が起こり蒸発しやすくなります。
摺動部に油膜形成が十分行われなくなりますと、異常摩耗やスカッフィングが起きます。
アルミ製のシリンダーは熱膨張率が鋳鉄の2倍ほどあります。
高温時にピストンがシリンダーより大きく膨張して焼き付きを起こす事が考えられます。
冷却性能は摺動部表面の放熱と発熱防止がどれだけうまく行われるかで決まります。
オイルの選定、添加剤の使用により油温を下げることも可能です。
オイル側の傾向としては、高温での蒸発、酸化、スラッジ化しにくいベースオイルを使用するのが一番です。
添加剤としては酸化抑制、清浄分散剤のほかに表面改質を目的としたものがあります。
もちろん、オイル自体の劣化も関係してきます。
もう一つリングスティックと呼ばれるものがあります。
リングの動きがオイルの粘度低下、スラッジなどの堆積などで動けなくなることです。
ピストンとシリンダの気密がうまく行われなくなり、出力低下やオイル上がりを起こします。
ブローバイガスのクランク室への増加によりオイル劣化を更に進行させます。
サイドクリアランスの大きさで、このスティックの起こり易さは変化するのですが、高温での使用が多い場合が問題となりそうです。
新しくエンジンを組んだときに問題となるのが慣らしです。
リングは新品ですから、シリンダスリーブとの摺り合わせが必要となります。
加工精度が上がったとはいえ、理想的輪郭に形成はされておりません。
まあ、基本的に摩耗によってそれが形成される訳ですから、何ともです。
ここでの摩擦はリングの張力です。
スリーブとリングの摩耗耐久性も問題はチョット複雑です。
耐久性としては、一般的にピストンリングとシリンダーの摩擦力は張力の大きさに比例しています。
当然リングのテンションは少ない方が耐久性は向上します。
勿論、シリンダスリーブとのクリアランスも重要な要素です。
あとは摺動する金属の組み合わせ方でしょう。
クロムメッキやモリブデンコーテイングのピストンリングは硬く、融点も高く、耐摩耗性が優れています。
しかしクロム同士やアルミ同士にするとすぐ焼き付きを起こしてしまいます。
テンションは最近の傾向として低張力のリングが使用されています。
0.15〜0.2Mpsくらいでしょうか。
最近はピストン、スリーブに耐摩耗性、潤滑性に優れたコーティングが施越されています。
ピストンのスカート部に行われている処理はモリブデンコートが多いです。
私もピストンには処理しています。
モリブデンによる摺動抵抗の低減が目的です。
3000rpmを超えますと多かれ少なかれピストンは首振りしながら上下しますから。
この処理は非常簡単です、潤滑塗装の一種ですから。
シリンダにはこの処理は出来ません。
200℃以上で焼き付けてありますが塗膜ですから。
モリブデンコーティングは皮膜の厚さによる寸法が変化があります。
摩滅により長期に渡る性能維持は期待ません。
シリンダにはモリブデンショットです。
モリブデンの粒子を圧縮空気でピストン表面に打ち込む、一種のブラスト技術です。
モリブデンブラストはモリブデンを表面に打ち込みますから、皮膜厚による寸法は変化しません。
ピストンとシリンダーの接触により摩滅することもありませんし、逆に接触を繰り返す事で表面層に打ち込まれたモリブデン粒子がさらに奥に刷り込まれます。
もう一つはショットピーニング、ハードショットピーニングとも呼ばれます。
製造時の残留応力をなくして、疲労強度を上げます。
ブラストの一種です。
航空機のジュラルミンの機体は処理されていました、タービンもこの処理ですね。
簡単に言うと加工硬化です。
もう少し高度な処理としてマイクロピーニングがあります。
マイクロピーニングは熱処理といったほうが正しいですね。
処理表面はなだらかで微細なディンプルを作りその凹凸は硬度が高く摺動面圧に負けない組織になります。
表面硬度を上げながら凹凸を作り出すことで摺動性を向上させています。
接触面が減少することにより摩擦を低減させることができますし、この凹部にオイルが保持されますので油切れがなくなります。
通常のピストンの場合は使い始めると摺動面が平面化してしまい、抵抗が増します。
乗っているということは慣らしをずっと続けている?訳ですから馴染む処を通過してひたすら磨耗街道を走っているんです。
慣らし過ぎると、ピストンは平面化してきます、その部分から油膜切れを起こすことになります。
処理をしますと表面が微細化され無数のディンプルが創生します。
ディンプルの谷間にはオイルが溜まり、点で接触をするので摺動抵抗を大幅に低減ができるのです。
WPC処理と呼ばれているものも同じです。
WPC処理が目的とするのは金属疲労強度の向上と摺動性向上です。
勿論金属の強度は上がりますが。
もう一つの摺動性向上は、滑りを良くして摩耗を減らす事が狙いです。
摩擦熱の減少、焼き付き防止等の耐久性の向上ですね。
摺動抵抗の低減により車のパワーは僅かに上がります、レスポンスも上がるとは思いますが、オマケです!?
WPC処理は表面熱処理なんです。
ショットの噴射速度が速いので、ショットが衝突したときに瞬間的に熱が発生します。
金属の結晶を一度溶かしてしまう程の温度になります。
一度溶けた金属を急冷すると金属の結晶は非常に細かくなります。
結晶が細かいと結晶の表面積が大きくなり、結晶同士の結びつきが強くクラックが入りにくくなります。
表面にあった細かいクラックもWPC処理にて修復されますね。
最近は、硬質クロームやTIN等のメッキや、窒化、浸炭などの表面処理の上にも行われています。
フロントフォークとか。
残念なことに、鋳物には不向きです。
鋳物はカーボンを含んでいますので、その表面のカーボンでも潤滑性能を保っていますから。
鋳物でもクランクシャフトのようなダクタイル鋳鉄は問題はありません。
摺動性を上げるためにチル化していますから多分・・・・
鋳物は二硫化モリブデンショットの方が良いでしょうね。
炭素の高い鉄は、溶解温度は1150℃程度です。
湯流れ性も良いことから鉄の鋳造が可能となったのです。
紀元前4世紀頃にはもうありましたね。
当時の鋳鉄はSi成分が低いために、チルと呼ばれる黒鉛のない硬くて脆い組織でした。
今のようにSi成分の高いチル組織がない鋳鉄が出来きたのは英国のアイアンブリッジの頃ですから1779年辺りでしょうか。
ついでに書いてしまえば人と鉄の出会いは、隕石が最初でしょう?
隕石はニッケルを多く含むため鍛造が可能です。
隕石は高価ですから現在隕石を鍛造しようとは思わないとは思いますが。
隕石のウッドマンステッテン組織と呼ばれる模様はロマンを感じます。
100万年に数℃という超超超・・・・・・・超スロースピードで凝固したときにできる模様ですから、気が遠くなりますが。
エジプトで隕石による鉄環首飾りが見つかっていますね、BC3000年頃でしょうか。
圧縮でしたね。
リングに求められる特性は気密、熱伝達作用、潤滑油膜厚さ制御でしたね。
機械的特性はやはり摺動時の応力に対しての疲労強度でしょう。
スチールが主流ですね、クロムメッキよりも窒化処理の方が疲労強度は向上します。
リングの材質としてはねずみ鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、炭素鋼、シリコンクロム鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、チタン合金でしょうか。
これらに表面処理をしておりますのでその方法によって磨耗性は影響を受けます。
耐摩耗性はシリンダーと擦れあう外周だけではなく、ピストンのリング溝のリングの両側面の摩耗があります。
初期状態では、直接シリンダー摺動するのはリング材料自体でなく、メッキ、溶射、窒化、PVD等の表面処理膜です。
したがって初期状態では表面処理の特性に依存しています。
ただし、リング側面とリング溝との摩耗には材料の摺動特性が直接影響します。
摩耗が問題となるリング側面にはクロムメッキやガス窒化処理が多く用いられています。
トップリングは、上死点付近でのオイル不足、高温の燃焼ガス、背圧による摺動圧力の増大等、きわめて厳しい条件にされされます。
リングとシリンダー間に金属接触がもたらされますので、高い耐摩耗性と耐スカッフィング性が要求されます。
耐スカッフィング特性としてはスチールよりも鋳鉄が優れていますが、現在の対策としては表面処理皮膜によるものが殆どです。
耐腐食性はガソリンエンジンでは殆ど問題にされません。
ディーゼルエンジンですと、ブローバイガス中のイオウ酸化物がクランク室中の水分と反応し亜硫酸に成りますので腐食の原因となります。
現在の軽油は脱イオウ処理が施されておりますので大丈夫でしょう。
リングの形状も色々です。
トップリングはストレートフェイスかパラレルフェイスです、バレルリングと呼ばれることもあります。
セカンドリングはテーパーフェイスが多いですね。
裏表というか上下があります。
径の小さい方が燃焼室側です。
合口にもストレート、アングル、ステップの形状がありますね。
アングル、ステップの合口はリング同士が合口で重なり合うようになります。
最近は合口が凹凸形状の物も有ります、少しでも漏れを防ごうとの構造です。
オイルリングは3ピース構造の物が多いですね。
リングの中央に開けた穴から掻き落した余分なオイルをピストン内側に送りクランク室に戻しています。
圧縮を行う為にもいろんな技術が使われています。
コンプレッションリング、オイルコントロールリングも構造は簡単なのに奥の深いものなんです。
下側ばかり気にしておりますと上からも漏れているかも。
IN、EXバルブですね。
こちらはフェイス面でしょうか。
特に排気側はカーボンスラッジが溜まりますから、カーボンの噛込み等による圧縮漏れが多いです。
ピストンと同様に混合気の圧縮圧力、燃焼圧力を受けます。
バルブシートの磨耗が一番考えなくてはいけませんかね。
バルブと繰返し衝突しています。
アルミヘッドですと鋳鉄等のバルブシートを焼バメして有ります、鋳鉄ヘッドですと直接加工されているものが殆どです。
放熱の面から考えますと当り幅は広いほうが有利ですが、圧縮の気密性から行きますと当り幅は狭い方が有利となります。
一般的な当り幅は1.4〜2.0mmくらいです。
排気バルブ側の方を多少広くするのが一般的です。
圧縮に関して言えば、この部分のトラブルはバルブシートリセッションが殆どです。
バルブフェイス、バルブ シートの磨耗です。
これによりバルブが沈み込んでしまいます。
旧車の有鉛ガソリン仕様車に無鉛ガソリンを使用すると起こりやすい現象です。
有鉛ガソリンの燃焼によって生じた鉛化合物がバルブフェイスに付着して緩衝材の役目を果していたんです。
一般的にはアンチノック性を高める為にガソリンに鉛が添加されいるのですが、その鉛がバルブフェイスとバルブシートの潤滑及び緩衝材の役目も持っていました。
私のように有鉛車をそんなに距離を乗らないのなら大した心配もありませんが、年間ウン1千kmも走られる方は要注意です。
まあ、圧縮漏れがひどくなったらバルブの摺り合わせをすれば済む事ですからあまり気にしても仕方がありません。
もう一つバルブクリアランス、タペットクリアランスの調整があります。
クリアランスが多少大きくてもタペット音が大きくなるだけです、大きすぎればバルブを開くときに遅れは出ますが。
冷間時のタペットの隙間の規定値0.05mmなんてシネックスゲージを使用してもネジを締めるだけで数値は簡単にズレます。
温まったときにバルブが閉まりきらない弊害より、多少タペット音がするくらいが良いのかも知れませんね、笑
最近の添加剤を使用すれば多少のタペット音は無くなってしまいますから、判断が付かない事も有ります。
私はシックネスゲージを使うことは殆どありません、冷間時のゼロタッチで十分です。