スポーク規格   (ネジ山角度 60°) ニップル規格 (傘角度 90°)
スポーク番手 呼び寸 スポーク外径 ネジ外径 ネジ長 ネジ山/1インチ
#8 BC4 4.0 4.45 32
#9 BC3.5 3.5 3.87 16.0
#10 BC3.2 3.2 3.57 15.0 40
#11 BC2.9 2.9 3.24 14.0 44
#12 BC2.6 2.6 2.87 13.0 56
#13 BC2.3 2.3 2.57 13.0
#14 BC2 2.0 2.27 9.0
#15 BC1.8 1.8 2.06 9.0
ニップル番手 首下直径 傘径 全長 首下長 レンチ
#8 7.2 11.0 17.0
#9 6.5 10.5 16.0 12.0 5.6
#10 5.8 9.0 15.0 11.8 4.9
#11 5.0 8.0 14.0 11.2 4.3
#12 4.6 7.5 13.0 10.4 3.9
#13 4.3 7.0 13.0 10.5 3.6
#14 4.0 6.5 12.0 10.0 3.4
#15 4.0 6.5 12.0 10.0 3.4
他がボロでもリム、スポークが輝きますと引き締まりますね。

レストアする上で問題になるワイヤースポークにチョット触れてみましょう。

ハブとリムからスポークに加わる力は張力となるように成っています。
スポークは引っ張る力(テンション)には強いのですが、圧縮(座屈)や曲げには弱いのです。
車体を支えているのは接地したタイヤのリム上部に来ているスポークの張力(テンション)です。
実際にはリムの上部にあるスポークとその前後の2本、計3本のスポークで大部分の荷重を支持してます。
路面側のスポークには圧縮力が働きますが、実際にはスポークのテンション(張力)が緩むだけです。
飛んだりして強い衝撃が加わらない限り、通定の走行では曲がりはしますが圧縮さることはありません。

スポークの規格は自転車用の規格と同じです。
国内ではBWG規格が使用さてれいます。
太さを表す規格ですが、断面積を表す規格でもあります。
電線等ですと国内ではsp(スケア)ですがAWGも使用します。
米国では電線もスポークもAWG規格で表されていますが。
BMW等のドイツ車ではスポークの太さ、ニップルネジの規格はメトリックです。
リム、ハブからスポークの長さも計算できますが又の機会に・・・・・・・

スポークのネジは転造(ローリング)で製作されています。
スポークに限らず各所に使用されている規格品をはじめとする殆どのネジは転造によって加工、製作されています。
特殊に見える産業省力機器、ロボット等に使用される精密ボールネジ、台形ネジも転造です。
馴染のある旋盤、タップ、ダイスの一般的な切削で製作されるのは形状が特殊なもの、精度の要求される場合が殆どです。
転造ネジは応力集中を受ける谷底が加工硬化されますので、切削ネジよりも強度的に優れているのです。
ネジ山の成形方法には切削、転造、鋳造があります。
切削はネジ山を1本づつ加工をしますので大量生産には向きません。
転造加工による製造コストは切削に比べ遥かに安いですね。

転造ネジの加工は転造ダイスと呼ばれるネジ溝を切った金型で材料を挟み込んで圧力を加えて転がす事でネジ山を立てます。
ダイスを加圧しながら回転させて塑性変形によりねじを成形しますので組織が繊維状になり緻密で堅い組織になります。
一方、切削加工では結晶組織を寸断しますので。

スポークに使われている材質は一般的には硬鋼線です。
硬鋼線はSWRHA42A、42B、62A、62B、ステンレス鋼はSUS304、430が使用されています。
チタンなども使われ始めています。
エンジンのバルブスプリング、ミッション、クラッチ等のバネも硬鋼線ですがオイル線と呼ぶ事もあります。

ホイールのスポークはたわんだりしなったりして変形しながら路面からのショックを吸収しています。
一種のサスペンションの役目も果しています。
私のように磨くのを放棄してのステンレスは・・・・・・・・向いていません、笑
硬くてしないませんし、強度的にも一般的な鋼鉄製のスポークには僅かに劣ります。
しかし、この弱点も乗り方次第です。
オフロードモデルですとステンレスはお勧め出来ません、と言うより止めておいた方が賢明です。

しかし私はステンレススポークの確りとした手応え、感じは捨てられません。
特に前輪は頼りなさが消え、はっきりとした手ごたえ安心感があります。
それだけ鋼鉄製のスポークがシナっているのですが。
ステンレススポークを使用するにはそれなりの対応をしておきませんと安心できません。

スポークが折れる場所は応力の掛かる曲げ加工の入った首下が殆どです。
金属疲労に由るものですね。
最近は対策なのか、軽量化それとも空力の改善?、エルボー部を太くして段付きにして有るのが多いですね。
段付きスポークでは括れた部分から破断することもあります。
オフ車のスポークがストレート、曲がりの少ないタイプが多いのもこの辺りに要因がありそうです。

オフ車でスポークのクロス部分をタイラップ、ワイヤー等で縛っているのを時々見かけます。
軽く輪をつくりスポークが破断した時に折れたスポークがチェーン等他の部分に悪さをするのを防ぐのが目的です。
中にはガッチリと固定している方まで・・・・・・
けして強度は上がりません、返ってスポークの動きを邪魔するだけかと。

未舗装路ほどでは有りませんが舗装路でも路面からのショックは避けられません。
対策としてサスペンションの高性能化です。
スイングアームは砲金、ゴムブッシュからニードルベアリングに変更し路面への追従性を上げます。

しかし、一番スポークがダメージを受けているのは発進、停止、シフトチェンジ、ブレーキングです。
発進時には廻ろうとするハブに対して留まろうとするリムがあります。
一瞬スポークが引き伸ばされます。
停止時には逆にハブは停止しようとしますがリムは回転を続けようとします。
ギアチェンジ、ブレーキング時にも同様の現象が起こります。
ハブとリムがスポークで繋がっている以上避けられません。

強度的に劣るステンレススポークを使用するのに対策を施しましょう。
急発進、急ブレーキを避ける、エンジンブレーキは使わない、笑
まあ、有効ですが根本的な解決には成りません。
私はエンジンブレーキは普段から使用しませんが・・・・・・

慣性の法則を持ち出すまでも無く重い物の方が動きにくく止まりにくいものです。
したがって軽量化ですね。
私はステンレススポークの使用時にはアルミリムに変更しています。
リムは最大でもフロント1.85、リアが2.15を選んでいます。
タイヤも欲張らずにあまり太いものは避けでいます。
バネ下の軽量化にも成りますし・・・・・・・
あまりグリップ力の有るタイヤも旧車のスポーク仕様ではフレームの強度もありますし。

因みに純正リム刻印してある4桁の数字にも意味があります。
頭の2桁が回転方向のスポーク角度、下2桁が軸方向の角度を示しています。

ハブダンパーも新品に交換です。
基本的にはトルク変動がエンジンに与えるダメージを減らす為のゴム製のショックアブソーバーですが。
クラッチミート、エンジンブレーキの衝撃の吸収、チェーンの伸びを抑制しています。
硬化したダンパーではリジットと一緒です、この役割をスポークが負うことに成ります。

スポークのテンションも大事です。
近年のリムは精度が優れています、歪みも少なく振れ取りも簡単です。
歪み取りに強く張った位置のスポークは切断し易いですね。
旧いリムは溶接部の歪みが大きく、振れを取る為にどうしてもテンションが偏ります。
避けられませんので許容範囲の振れで調整は終了です。
無理に振れを追い込みますと、どうしてもテンションは上げざるを得ませんから。
まあ、前輪は結構ガッチリと組みますが・・・・・・・
Meguro J8
ホイール組み換え
リアホイールを外しますと車体側にドリブンスプロケットが残ります。

チェーンリアカバーは欠品です、通常は外さずに行えます。

組付はハブダンパーの3つの穴に合わせてホイールを入れます。

外すのは簡単なのですが、組入れる時にはよく見えませんのでチョット・・・・・

構造的にチェーンを気にしなくて良いのは最高です。

組付後のチェーンの遊び調整も要りませんし。

旧英国車も同様な方式ですが外部からのナット締メ、4輪のタイヤ交換と同程度です。
取りあえずタイヤを外します。

思ったほど硬化はしていないようです。
前後バラシます。

錆々のリムには穴が・・・・・

スポーク共々交換したほうが良さそうです。
今回はボルトクリッパでなく1本ずつ外しました。

スポークの錆は味を通リ越しています。

虫食いが酷く、今にも折れそうなスポークもあります。
リアハブのベアリングは両側にテーパーベアリング(円錐コロ軸受)が使用されています。

締め付けが微妙なテーパータイプを使用する理由が解かりません。

サイドカー対応仕様とのお話も有りますが・・・・・

フロント側は一般的な開放型の深溝玉ベアリングが使用されています。

ベアリング型式はフロント 6303、リア 30204です。

オイルシールは、リア側TC25478、SC36507、フロント側は規格落ち廃番のSC32477です。

手配できなければSC31477を使用してカラーを製作、又は追加工すれば問題ありません。
スポークは#9ですね。

ステンレススポークの使用も多いですがスポークは流用しましょう。

今回の使用リムは鉄リムですから!?

メグロに其のまま流用できるYAMAHAのスポークがメーカー欠品に成ってしまいました。

別の流用スポークをバンドソーで5mm切断です。

後工程を楽にする為にスポークの長さは正確に全て揃えました。

スポークネジ切りでネジを転造です、ネジ部が10mmほど残っていますので楽勝です!?
スポーク製作完了です。

前後で80本、疲れました。

ユニクロメッキのスポークは1本ずつバフ掛けです、益々疲れました。

錆防止に切断面は自家製ニッケルメッキを掛けています。

この後、Hondaの旧車種から流用スポーク発見!

更に疲れが・・・・・・・・・・
ハブの汚れ落しは旋盤のチャックに咥えて廻し真鍮ブラシで・・・・手抜きです!?

リアハブのドラムはライニング面が多少荒れています。

真円加工を兼ねて旋盤で一皮剥いておきます。

ワークが大きいので芯押し台でセンターをキープし、安全を確保します。

汚れているドラムの内側はライニング面をマスクして軽くブラストを当てましょう。

最終的にハブにはガラスビーズを撃ち、側面は軽くバフを掛けてしまいました。
リムは前後共に1.85-18のスチールです。

現行のDIDの新品リムですので丸リムでは有りません。

ベアリング、オイルシールは無条件交換です。

フロントハブの解放型深溝玉ベアリングはステンレスの両面ゴムシールタイプに変更です。

グリスニップルが有りますが、ハブ内部のディスタンスカラー廻りにグリスが一杯に成りませんとベアリングにグリスが供給されませんから。

ベアリングはハブ単体のうちに打ち換えます。
リアハブのテーパーベアリングは強化タイプに交換です。

右側 12ローラー オリジナル

左側 15ローラー 交換用

まあ、大したパワーの無いメグロですが気は心と云うことで・・・・・
使用されたハブには外側になったスポークの後が残っているのが殆どです。

見た目重視で同じように外側用のスポーク位置とします。

内側のスポークは首の曲がりが小さいのが一般的です。

最初に内側になるスポークを左右10本ずつ計20本をハブに挿入します。

リムの刻印が車体の左側に成るように置き、軽くニップルで組みます。

刻印が左右どちらに成っても大勢に影響はありませんが・・・・
外側用のスポークをハブ内側から10本挿入して軽くニップルを締めます。

改めて反対側に残り10本のスポークを挿入しニップルを取り付けます。

ドライバでニップルを軽く廻しビットがカムアウトする位置まで早回しです。

リム内側からニップル内のスポークの見え方が均等に成るように全てのニップルを指で廻らなくなるまで締め込みます。

一般的なタンジェント組ですので40本でも楽勝です。

スポークは収まる所にしか収まりません。
仮組み後の振れ取りをしましょう、ホイールバランサーは久々の登場です。

近年のリムは精度が良いですね、ほとんど振れもありません。

簡単です、ニップルレンチで取り合えず均等に締め込みます。

振れ取りは4本ずつのグループで行います、テンションは音で判断!?

ハブのオフセットは有りません、センターです。

無理して追い込んでも・・・・根気も有りませんし。

自己満足の世界ですので振れ取りは左右、円周とも0.5mmで終了です。
最近はリムバンドは使用せず25mm幅のガムテープで代用しています。

タイヤチューブは新品を奢っておきます。

リムプロテクターを2箇所へ使用してタイヤを組み付けます。

力は必要としません、反対側のビートが確りリム中央に落ちていれば。

欲張らずにタイヤレバーは90度程度までしか起こしません

それ以上起こして使いますとタイヤレバーでチューブをリムとの間に噛み易く成ります。

エアーを入れたら、あら〜・・・・・ふりだしに戻る、と
組み付けはタイヤにある黄色のペイントをチューブのバルブ位置に合わせるのが基本です。

タイヤはチューブレスタイプ、フロント 3.0×18-4 、リア 3.25×18-4です。

ガレージの暗室?でここ2、3年不良在庫に成っていた未使用品を組み付けました。

何故有ったのか??

フロント用、リア用のパターン、仕様は正規ですが前後のメーカーが違います。

気にしません、このメグロでコーナーは攻めませんし。

綺麗に成り過ぎです、益々他とのバランスが・・・・
フロントから外したブレーキシューの片側にライニングが有りません、笑

流石に見なかった事には出来ません。

ライニング面にはアルミ独特の白い粉が浮いています。

張替用の構造用接着剤、ノンアスベストライニング材料の入手はできますが気力が・・・・

素直に目黒ライニングさんへ張替を依頼しました。

メグロのようなアルミベースでも問題なく張替えが可能です。
シューにはMWマークが浮き出ています、接着剤の名残も眩しいです。

滅多に乗りませんので当たりが出る頃には年齢的に・・・・・

張替の済んだシューのライニングの面だしをある程度まで行なっておきます。

黒っぽく変色して見える箇所が当っている位置です、エッジも落としています。

これで安心です?、最初から確りブレーキが利くことでしょう!

リア側はブレーキダストの汚れだけ、特に問題なしと判断しフロント側のみ張替えです。

フロントブレーキ重視の乗り方ですし・・・・・
ブレーキシューの虫食い支点ボルトはワンオフでステンレス仕様に。

カムシャフトは特に問題ありませんでしたので汚れを落とし純正のまま使用します。

テンションスプリングはユニクロメッキを掛けてあります。

テンションロッド用はニッケルメッキです。
ブレーキパネルも組立て終了。

後は車体に組み付けるだけです。

走る、曲がる、止まるを直接的に担当するホイール関係はやれた状態には出来ません!

外観以外は確りと整備しておきます。
車体廻りがヤレて要るのは良いのですが、足元が頼り無さそうです。

足元は大事です。