W1のクランクです。 写真の右側2番(左気筒側)のブッシュが廻っていました。 1番(右気筒側)は廻る気配はありませんでしたが交換の為抜き取ります。 |
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ブッシュの抜き取りには、昔製作したSSTを使用します。 何かのパーツと一緒にクロームメッキに出した覚えがあります。 治具を交換しますとピストンピンの抜き取りにも対応します。 ブッシュ内外径、コンロッドに合わせた冶具をセットします。 14、15、16,、17、18、19mmが今まで手掛けたピストンピン径、ブッシュ内径です。 W1のピストンピン径は19mmです。 |
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抜き取ってみました。 右側が廻っていたブッシュです、左側はかなり綺麗です。 ズレてからしばらく走った様子です、オイル穴の痕がマーキングされてしまっています。 ライフルマークのようなキズ跡も付いています。 廻ったブッシュの外形は25.48mm、もう片側は25.53mmでした。 5/100mmの違い、この径からいきますと嵌め合い公差の規格外です。 |
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抜き取った痕にブッシュのオイル穴のシミがしっかり付いています。 ライフルマークが付いた要因が??です。 キズの古さから抜き取り時のもので無いことは確かなのですが・・・・・ 廻った側のコンロッドの穴径は1気筒側に比べて10/100mm程大きくなっていました。 元々の加工時の公差なのか廻った為の減りなのかは?です。 ブッシュの外径との足し算で余計に勘合は甘くなっています。 |
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ブッシュ用の砲金BC6C(CAC406C)です。 銅90%、錫10%程度です、亜鉛を3〜5%含む物もあります。 磨耗、腐食に強いのが特徴で性質熱伝導、保温性、耐久性に優れ鋳造が容易です。 靭性(ねばり強さ)がありますが、ひっぱり強さは弱いですね。 大砲にも用いられていました、ガンメタルとも言われる由縁です。 |
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フライスにメタルソーを取り付けて必要な分をカットします。 バンドソーでも良かったのですが出してくるのに重いですから・・・・ |
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砲金は加工が容易です。 内径の加工も同時に旋盤で行ないます。 ボール盤での加工と違い、ピンとピストンは何もせずとも間違いなく垂直に成るように加工されますのでお気軽です。 |
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10/100mm違うコンロッド側にリーマーを通して合わせる事も考えましたが・・・・・ 其々の挿入径に合わせて外径を加工です。 ピストンピン側の内径はとりあえず18.95mmの加工です。 オイルラインの穴あけ加工の後リーマーで穴径を仕上げます。 |
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ブッシュを圧入します。 抜き取り用のSSTでも良いのですがクリアランスを狭めましたので圧入用を使用します。 こちらの方がブッシュに掛かるストレスが少ないです。 圧入と云っても実際は引き込み方式です。 治具を交換しますとクランクケースへクランクをセットするのにも対応します。 |
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気持ちよく圧入完了です。 | |
コンロッド上部のオイルラインの穴あけです。 一般の刃付けですと電ドルでの穴あけは貫通時にドリルが引き込まれます。 ドリルでブッシュ内径対面にキズが付かないように不要のアルミ丸材で保護しておきます。 貫通しても安心です。 ちなみに加工するオイル穴はコンロッド1本に2箇所です。 |
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内側にバリが出ますがリーマーを通しますので大丈夫です。 クランク単体ですから切子の処理もお気楽です。 大端部はウエス等でマスクしておきます。 2箇所でこの切子ですから実際には2倍の切子がでます。 腰上分解OHでのブッシュの入れ替えはしっかりとマスキングしませんと大変なことに成りそうです。 クランク室、大端部への配慮しませんと・・・・・・・ |
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オイル穴は僅かに小さく開けてリーマを通します。 仕上げリーマーを通せば内径に出たバリも綺麗になります。 このリーマーは5.0mmのストレートタイプです。 |
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砲金ブッシュの内径をピストンピン径に最終仕上げ加工をします。 こちらはアジャスタブルリーマー を使用しクリアランスを調整します。 7本で6.35mm-8.70mm、13.50mm-19.75mmを1/100mmでカバーします。 径が細いタイプはバルブガイドの製作時に使用しています。 固定数値のリーマーは揃え切れませんし、買えませ〜ん。 この範囲を揃えるだけで軽自動車が楽に買えてしまいます、笑 |
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完成です。 ピストンピンとのクリアランスはとりあえずチョットキツメの3/100mmです。 |
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こちらもスモールエンドが回転したのが原因で焼き付きを起こした腰下です。 ブッシュは指でスッポリと抜けてしまいました。 放置しているうちにブッシュは紛失です。 丸いシミは原因が?? 2番気筒はコンロッドにもカーボンが付着しています。 元ネタの個体はケインさんのお祭りマンボ2のエンジンです。 |
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他に不具合も有りませんからこの個体も復活させました。 1台も2台も一緒ですから。 砲金ブッシュが眩しいです。 |
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